ビジネスモデルの「系」の話

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ビジネスモデルの「系」とは、「どこまでを1つのビジネス単位としてとらえるか」という範囲のことを言います。

1. ビジネスモデルの「系」とは

ビジネスモデルの「系」とは、「どこまでを1つのビジネス単位としてとらえるか」という範囲のことを指す言葉です。

系とは、「全体で調和がとれている1つのまとまり」と考えます。

2. JRを例に

JRを例に挙げると、JR東日本という会社は非常に大きな会社ですが、その事業を分解して見ていきます。

2-1. 全体を1つの系とすると

JRの事業全体を1つの系として捉えると、

  •   運送業
  •   ホテル事業
  •   旅行代理店
  •   広告代理店
  •   車両の製造業

など、さまざまな事業で成り立っています。

この複合体の全体を1つの「系」、すなわち「ビジネス単位」として見ることができます。

その場合、個々の事業には黒字のものと赤字のものが混在していても、全体として黒字になればビジネスが存続するという考え方が成立します。

2-2. 一つひとつの事業を系とすると

いっぽう、一つひとつの事業をそれぞれ独立の「系」とみなして考えることも可能で、その場合は、黒字の「系」は存続しますが、赤字の「系」は存続が難しくなります。

さらに、JR東日本の「運送業」の部分だけを掘り下げて細分化することも可能で、

  •  東北新幹線という「系」
  •  山手線という「系」
  •  中央線という「系」

などを設定することができます。

この場合も黒字の「系」は存続しますが、赤字の「系」は存続が難しくなります。

2-3. 赤字だからと言ってやめてしまうと

しかし、赤字路線があるおかげで、黒字路線が恩恵を受けている。もし赤字路線をやめてしまえば、黒字路線の採算が大幅に悪化する、という「相互に影響している」ケースもあります。

そのようなときは、赤字路線と黒字路線を別々の「系」とみなすのはよくありません。1つの「系」として扱うべきでしょう。

2-4. 系の設定の仕方であり方が変わる

このように、「系」の設定のしかたで、ビジネスのありかたも変わってきます。

3. 系の概念=質量保存の法則

「系」の概念ですが、有名な物理法則の一つに、「質量保存則」があります。

化学反応の前後で「系」の質量は変化しないという法則。ここに「系」という概念が登場します。

3-1. ロウソクの質量は変わらない

100グラムのロウソクに火をともして、しばらくたつとロウソクは軽くなっています。

しかし実は、ロウの成分が酸素と反応し(=燃焼)、別の成分となり、空気中に散ったからで、ロウソクじたいは軽くなっていますが、周囲の空気を含めた総質量は変化していません。

ロウソクと火だけを「系」としてしまうと、質量保存則は成り立たないのですが、周囲の空気を含めた全体を「系」と考えることで質量保存則は守られます。

3-2. 系とは、全体で調和がとれているまとまり

つまり、「系」とは、

「全体で調和がとれている1つのまとまり」

「細部には凸凹があるが全体で辻褄が合っている1つのまとまり」

のような意味あいの言葉です。

4. 系はビジネスモデルの大事な要素

この「系」の考え方は、これからビジネスモデルを組み立てるときにも重要な要素です。

とくに、ソーシャルビジネス、すなわち、社会貢献度の高い事業を計画する際によくあることの一つに、「社会に貢献しようとすればするほど、どうやって収益をあげるかよい考えが浮かばず、壁にぶつかる」ということがあります。

そんなとき、「系」の設定を見直すことで、その壁を越えることが可能になります。

4-1. アメリカのあるNPO団体の例

たとえば、アメリカ西海岸のとあるNPOは、家出した少年少女を受け入れる施設を運営し、教育などを行っていますが、それだけでは経済的にうまく回りません。

この施設の運営を「系」として決めつけてしまうと、赤字になってしまいます。

しかし、実際にはこのNPOは、アイスクリーム屋を出店しています。そのアイスクリーム屋が非常においしいので、高い人気を誇っており、チェーン展開をするまでになっています。アイスクリーム店が十分な利益を上げているので、施設の活動が支障なく行われているのです。

また、アイスクリームの利益が施設の運営に使われていることを知っている顧客が多く、アイスクリーム店の評判を高めています。

施設とアイスクリーム店、この2つを合わせて「1つの系」と見なせば、事業として成立しています。

「細部には凸凹があるが全体で辻褄が合っている」と言うことができます。

5. まとめ

ビジネスモデルの「系」とは、どこまでを1つのビジネス単位としてとらえるか、という事業計画であり、経営方針になります。全体で調和がとれている1つのまとまりとして何が一番良いのかを考え、設計することが大切です。

いずれにしても、ビジネスモデルの「系」は、経営者のどうしたいか、どうありたいかが反映されたものになります。

 

協会総研

吉村司 吉岡岳彦

 

 

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吉岡岳彦

『協会のはじめて』では、一般社団法人の知識から協会の運営方法まで、結果を出してきたノウハウや勘所を包み隠さずに提供しています。