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合同会社とは何か?【設立方法からメリットまで】

合同会社とは何か?【設立方法からメリットまで】

「合同会社」という言葉を初めて聞く人もいるかもしれません。

合同会社は、法人の一つの形態になります。株式会社などと同じ法人の一種です。

「アップル」と聞いて知らない人はいないでしょう。MacやiPhoneを提供している、あのアップルのことです。

このアップルは、Apple Japan合同会社です。

では、なぜアップルのような大きな会社が株式会社を解散してまで、合同会社に移行したのでしょうか?

メリットがなければ移行しないわけですから。

ここでは、

  • なぜ今、合同会社の設立が急増しているのか?
  • 合同会社のメリットは何か?
  • 合同会社はどうやって設立できるのか?
  • 合同会社の設立にはいくらかかるのか?

そういった合同会社に関する様々なことをお伝えしていきます。

1. 合同会社とは?

合同会社とは、出資者の全員が有限責任社員となって構成する法人になります。 

わかりやすく言えば、株式会社では、出資者(株主)はお金を出すだけで、経営をするのは取締役などの役員になります。

しかし、合同会社では、出資した人が経営もするということです。合同会社はこういった特徴を持つ法人形態になります。

1-1. 合同会社は、間接有限責任

合同会社は、出資者全員が有限責任社員となって構成する法人です。 

個人事業主や合名会社、合資会社の場合には、事業破綻や倒産に陥った際、無限に責任を負うこととなっています。

ところが、合同会社は、株式会社と同しように「間接有限責任」になります。

出資金以上の債務を追わずに済みます。こういった一定のリスクを回避できるという点が、大きな特徴となります。

1-2. 合同会社は、新しい法人

合同会社は、2006年の会社法改正によって設けられた新しい法人形態になります。

出資者と経営機関が分離している株式会社と異なり、出資者が社員として経営にも関与するという特徴の持つのが合同会社です。

合同会社は、株式会社と比べて、設立費用や維持コストが安く抑えられます。個人事業主の法人成り(法人化)やベンチャー企業の設立に多く用いられています。

1-3. アップルジャパンも合同会社

アップルジャパンのような大手企業が株式会社を解散してまで、合同会社に移行するにはメリットがあるからです。それはどのようなことでしょうか?

合同会社は、株式会社と比べて組織運営の自由度が高くなります。柔軟な経営ができることが、大きなメリットになります。

例えば、株式会社では、出資比率に応じて会社の利益が配当されます。

ところが、合同会社では、出資比率に関係なく、能力に応じて利益の配分を調節できます。

また、株主総会などの監視機関を設置する義務がないため、スムーズな意思決定が可能になります。

2. 合同会社の略は?

「株式会社」を略す場合に「(株)」と記すように、合同会社にも略字があります。

「合同会社」の場合には、「(同)」と略します。

2-1. 合同会社の略を「合」としない

「合同会社」は、「(同)」と略します。

「合同会社」は、「(合)」と略してはいけません。

合同会社の頭文字をとって「(合)」としたいところですが、そうすると、問題が起きることがあります。合同会社以外にも、「合」で始まる「合名会社」と「合資会社」があるからです。

ちなみに、「合名会社」は「(名)」、「合資会社」は「(資)」と記します。

2-1. 合同会社の銀行での略

銀行で送金するときなど、金融機関などではカタカナ表記になります。

合同会社の場合には、「ド」と略します。

前(同)の場合には、「ド)」、後(同)の「(ド」と記します。

3. 合同会社の英語表記は?

合同会社は、LLCということもあります。合同会社の英語表記は、Limited Liability Companyです。

その頭文字をとって「LLC」と記します。

また、稀に「GK」と表記することがあります。これが、合同会社のローマ字(Godo Kaisha)の頭文字をとった表記になります。

これらは定款に記す登記事項ではないので、全部事項履歴証明書(いわゆる登記簿謄本)には表示されません。

ただし、定款で定めておくことができます。ちなみに、株式会社の場合は「Co.Ltd.」や「Inc.」が使われています。

4. 合同会社は増えています

合同会社の設立数は、右肩上がりに伸びています。平成26年度では、年間2万件近くの合同会社が設立されています。

平成26年度の株式会社設立数は、8万6千件です。5社に1社の割合で、合同会社が設立されています。

確実に、合同会社に魅力を感じている経営者や起業家が増えています。

4-1. 合同会社の設立数の推移

平成18年度 3,392

平成19年度 6,076

平成20年度 5,413

平成21年度 5,771

平成22年度 7,153

平成23年度 9,130

平成24年度 10,889

平成25年度 14,581

平成26年度 19,808

※ 総務省調べ

4-2. 合同会社は安い、早い

合同会社は、株式会社と比べて、設立の費用が安く、さらに、公証人役場での定款認証が不要です。したがって、すぐに設立が可能です。

また、役員の任期の定めもありません。

株式会社の場合には、任期満了ごとに役員の重任登記が必要になります。

4-3. 合同会社に向いている業種

どんな業種の合同会社が今増えているのでしょうか?

  • 医療関連会社(企業との取引の際に法人格が必要なため)
  • 介護事業(許認可要件に法人格が必要なため)
  • 不動産投資会社(節税メリットを享受するため)
  • FX運営会社(節税メリットを享受するため)
  • 建設業
  • ITビジネス関係
  • コンサルタント関係
  • ファンド事業

合同会社は、株式会社同様に自由度の高いビジネスが可能な法人です。

設立の目的はそれぞれではありますが、確実にその裾野は広がってきていると言えます。

5. 合同会社の特徴

株式会社と比べて、設立しやすい特徴の合同会社ですが、合同会社にはメリットと
デメリットがあります。

以下の点を踏まえて、設立する準備を行ってください。

5-1. 合同会社の良い点

  1. 設立費用が安い
  2. 設立後の運営でも、株式会社に比べて費用や手間がかからない
  3. 意思決定方法や利益の配分方法を柔軟に決めることができる  

①設立費用が安い

合同会社のメリットは、費用の安さです。

登録免許税が、株式会社では最低でも21万円かかるのに対して、合同会社は6万円で済みます。公証役場での認証も必要ない為、認証費用の約5万円も、定款に貼る収入印紙代4万円も不要となります。

③決算公告がない

合同会社では、株式会社と違って、決算公告の必要がありません。そのため毎年の官報の費用もかかりません。

株式会社の場合には、最低でも約6万円が必要となります。また、役員の任期も無制限です。

株式会社のような役員変更登記の必要がありません。
株式会社では、2年ごとの役員変更登記が必要になります。

③利益の配分が自由

株式会社と違って、出資した金額にかかわらず、意思決定や利益の配分ができます。

出資が少なくても人的に貢献した人の働きに応じて、柔軟に配分することができます。  

5-2. 合同会社の悪い点

  1. 社員全員の総意でないと意思決定ができない
  2. まだ社会的に認知度がない

①全員の合意が必要

合同会社の意志決定は、社員全員の合意が必要になります。

したがって、意見が分かれることがあり、意思決定がスムーズにいかない可能性があります。
出資の割合で意思決定できる株式会社と比べて、ここが大きな違いになります。  

②知られていない

まだできたばかりの会社形態であり、社会的に認知度が低いこともデメリットなのかもしれません。

6. 合同会社設立のメリットとデメリット

合同会社のメリットは、少ない設立コストで済むこと。有限責任であること。迅速な意思決定ができること。利益配分を自由に設定できることなどが挙げられます。

ここでは、合同会社設立のメリットとデメリットを詳しくみていこうと思います。

6-1.合同会社のメリット

  • 社員が全員、有限責任社員になります。そして、出資の範囲内で、有限責任を負うことになります。これを間接有限責任といいます。
  • 決算公告の義務がないため、株式会社のように毎年決算時に会社の決算書を公表しなくても結構です。これは決算を公表したくない会社には最適です。
  • 合同会社は持分会社です。そのため、定款自治の範囲が広く、自由に定款に規定することが可能です。
  • 社員は、出資者と役員の両方を兼ねている存在になります。
    出資者自らが業務を行うため、早い意思決定が可能になります。
  • 利益配分の割合を出資額とは関係なく設定することができます。
  • 1人でも設立が可能です。 代表社員が1人の、いわゆる「一人会社」も可能です。
  • 株式会社設立と異なり、公証人役場での定款認証が不要です。このため、定款認証費の5万円は不要です。
    ちなみに、定款は作成しなければなりませんが、認証手続きは不要という意味になります。
  • 法務局での設立登記の費用は、「登録免許税」として6万円です。
    株式会社の登録免許税は、15万円です。会社設立コストが株式会社に比べて安いのが、合同会社のメリットです。
  • 合同会社特有のメリットではありませんが、社会保険(厚生年金)への加入義務あります。ただし、一人会社の場合には、国民健康保険+国民年金の選択もできます。
  • 社員全員の同意があれば、株式会社に移行することも可能です。
    最初は合同会社を設立して、経営が軌道に乗り、業績も上がってきてから株式会社に変更するのもひとつの方法です。

6-2.合同会社のデメリット

  • 社長の名称は「代表社員」と言います。「代表取締役」ではありません。名刺やウェブサイトなどの肩書きには、「代表取締役社長」とは名乗れません。
    ただし、「代表社員」という呼称を気にしなければ問題ありません。合同会社のメリットを優先して考えたほうが得策です。
  • 合同会社は、株式会社と比べて、決算の非公開、株主総会の非設置などから閉鎖的な法人です。取引先によっては、取引の制限がかかる可能性があります。
    ただし、株式会社が1円の資本金から設立できる今では、合同会社だからといって信用力が極端に落ちるとは考えにくいです。
  • 社員同士で意見の対立が起きると、意思決定がストップする可能性があります。
  • 利益配分の割合を出資額とは関係なく設定することできるため、逆に、利益配分の割合について不満が出たときには、社内対立が起きる可能性があります。
    このようなトラブルを防ぐには、設立の際に、「社員」をあまり増やし過ぎないようにすると良いです。そもそも、合同会社という法人形態自体が、少人数の社員によって設立し、運営することを想定して作られたものです。
  • 将来的に良い人材を集めたい際に、認知度の低い合同会社では、人材が集まりにくい可能性があります。

7. 合同会社の定款

合同会社の定款に必要な基本事項は以下の通りです。

7-1. 合同会社の基本事項を決定

最初に、合同設立の基本事項を決定します。

商号、本店所在地、事業目的、社員(出資者)、代表社員、業務執行社員、出資金などを決定します。

事業の目的に不備があると、登記申請時に却下されることがあります。管轄登記所に問い合わせるなどして留意ください。

7-2. 類似商号を調査

商号は、会社法改正により、同一所在地でなければ、同一の市区町村内に商号と事業目的が同じ会社を設立することが可能になりました。

7-3. 印鑑を作成

設立する会社の商号が確定したら、設立する会社名で印鑑を注文します。

7-4. 許認可を確認する

許認可が必要かの確認をします。特定の業種においては、許認可を受けなければ事業を行えない、という規制があります。

この許認可の申請は、会社設立後に行いますが、これらの許認可基準を満たすように、開業準備をしていかなければなりません。

許認可の申請先は保健所、警察署、都道府県知事など区々です。

ある程度の目的が決まったら、許認可が必要かどうかを、商工会議所の相談窓口や都道府県の商工課などに確認すると良いです。

7-4-1. 許認可が必要な業種の一例

飲食店・喫茶店・酒屋・介護事業・美容院・理容店・クリーニング屋・人材派遣業・建設業・不動産業・中古車販売業・古着屋・骨董品屋・貸金業etc.

7-5. 定款の作成

会社設立の登記に必要な定款、登記申請書、添付書類などを作成します。

7-5-1. 合同会社の定款の例

 

合同会社×××× 定款

平成○○年○○月○○日 作成

平成  年  月  日 会社成立

合同会社×××× 定款

第1章 総 則

(商号) 

第1条 当会社は、合同会社××××と称する。

(目的) 

第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。

 1.企業経営に関する総合コンサルティング業務

2.(将来的に行う予定がある事業の追加があれば記載)

3.(将来的に行う予定がある事業の追加があれば記載)

4.(将来的に行う予定がある事業の追加があれば記載)

5.前各号に附帯する一切の事業

(本店の所在地) 

第3条 当会社は、本店を大阪市中央区に置く。(最小行政区画まで記載)

(公告の方法) 

第4条 当会社の公告は、官報に掲載して行う。

第2章 社員及び出資

(社員及び出資) 

第5条 当会社の社員は、すべて有限責任社員とし、その氏名および住所並びに出資の目的およびその価額は次の通りである。

   大阪市北区○○町○丁目○番○-○○○号 (印鑑証明書記載住所をそのまま記載)

 

   有限責任社員 ○○ ○○   金 ○○万円

(持分の譲渡) 

第6条 社員が持分を譲渡するには、他の社員全員の承諾を得なければならない。

(社員の加入) 

第7条 当会社は、総社員の同意をもって、新たに社員を加入させることができる。

(社員の退社) 

第8条 各社員は、事業年度終了の時において退社することができる。この場合においては、各社員は、6ヶ月前までに会社に退社の予告をしなければならない。ただし、各社員はやむを得ない事情がある場合には、いつでも退社することができる。

(社員の除名) 

第9条 当会社は、正当な理由がある場合に、他の社員全員の同意をもって社員を除名する

ことができる。

第3章 業務の執行

(業務執行社員) 

第10条 当会社は、互選により、社員の中から業務を執行する社員(以下「業務執行社員」

という)1名以上を定めることができる。

 

     2  業務執行社員が2名以上あるときは、当会社の業務は、業務執行社員の過半数を

    もって決する。

(代表社員)

第11条 当会社は、業務執行社員の互選により、業務執行社員の中から代表社員を定めるこ

とができる。

第4章 計 算

(事業年度) 

第12条 当会社の事業年度は、毎年○月○日から翌年△月△△日までの年1期とする。

                (会社の決算期間を決めます)

(利益の配当) 

第13条 社員に対する利益の配当は、毎事業年度末日現在の社員に分配するものとする。

(社員の損益分配の割合) 

第14条 社員の損益分配の割合は、総社員の同意により、出資の価額と異なる割合によることができる。

第5章 附 則

(最初の事業年度) 

第15条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から平成○○年△月△△日までとする。(第12条で決めた第1期目の期末日を記載します)

(最初の業務執行社員及び代表社員)

第16条 当会社の設立当初の業務執行社員及び代表社員は、次のとおりとする。

業務執行社員    ○○ ○○

代表社員    ○○ ○○

 

(定款の変更) 

第17条 定款を変更するには、総社員の同意を得なければならない。

(法令の適用) 

第18条 本定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の法令によるものとする。

以上、合同会社××××を設立するため、この定款を作成し、社員が次に記名押印する。

  平成○○年○○月○○日  (表紙の作成日と同じ日付にします)

            社員   ○○ ○○   ㊞   ←(個人の実印を押印)

7-5-2. 合同会社設立登記申請書の例

合同会社設立登記申請書

1.商     号  合同会社 ×××× 

1.本     店  大阪市中央区○丁目△番××号 (正確な住所。省略は不可)

1.登記の事由  平成○○年○○月○○日設立手続終了

                     (登記以外の設立手続きが全て終了した日を記載)

1.登記すべき事項  別紙のとおり

 

1.課税標準金額  金○○○万円

                        (資本金の額)

1.登録免許税  金 6万円

 

1.添付書類

定款                            1通

本店所在地を決定したことを証する書面            1通

払込みがあったことを証する書面               1通

代表社員の印鑑証明書                    1通

設立時代表社員の就任承諾書(定款の記載を援用する。)

                          上記のとおり登記の申請をします。

平成○○年○○月○○日 (登記申請日=会社創立記念日)

申請人  大阪市中央区○丁目△番××号  (本店)

合同会社 ××××  (商号)

大阪市北区○○町○丁目○番○-○○○号 

(代表社員の印鑑証明書記載住所をそのまま記載)

代表社員  ○○ ○○      ㊞

 

連絡先  ○○-○○○○-△△△△

                       (昼間繋がる電話番号)

○○法務局 △△支局  御中 (本店所在地管轄の法務局を誤りの無いように記載)

7-6. 資本金の払込み

資本金の払い込みは、次のような手順で行います。

まず、代表社員の個人口座に資本金を払い込み、それを記帳します。必ず、代表社員の口座に払い込みしてください。

入金または、各社員名義での振込をしてください。口座残高が十分にあっても払い込みは必要となります。払い込まれた金額が資本金の額以上でなければいけません。

その後、通帳の表紙、通帳の1ページ目(銀行名・支店名・口座番号・口座名義人が記載されているページ)、入金記載ページ(資本金の払込みが記載されている明細のページ)をコピーします。

これら3つのコピーと『払込みがあった事の証明書』をホッチキスで綴じます。そして、各ページを代表印で契印します。

7-6-1. 払込みがあった事の証明書の例

証 明 書

当会社の資本金については以下のとおり、全額の払込みがあったことを証明します。

            払込みを受けた金額  金 ○○万円

                        (資本金の額)

平成○○年○○月○○日 (通帳記載の払い込んだ日)

合同会社 ××××

代表社員  ○○ ○○   ㊞

7-7. 登記申請手続き

各種書類を作成したら、代表社員の印鑑証明書、登録免許税分の収入印紙を持って、管轄の法務局へ赴き、登記申請します。

登記申請をした後、補正の確認日が指定され、確認日に登記所に電話をして補正の有無を確認します。

申請してから登記が完了するまでの期間は、10日程度とされています。補正がなければ、登記申請日が会社の設立日になります。

7-8. 諸官庁に届出

税務署、税務事務所、市区町村役場、労働基準監督署、職業安定所、社会保険事務所などに、必要に応じて届出を行います。

7-9. 銀行口座開設

登記簿謄本、印鑑証明を持参して、法人銀行口座を開設します。

創業者融資、各種融資を受けたい方は、銀行の選定にお気をつけください。

8. 合同会社設立の費用

合同会社(LLC)設立に必要な費用ですが、行政書士、司法書士の先生に定款の作成を依頼する場合と、ご自身で手続きをする方法があります。

法人を設立するという初めてのことであったり、あるいは忙しい中、法的な書類を整えることが難しい場合など、書士の先生にお願いすることが一般的です。

8-1. 合同会社の法定費用は6万円のみ

法務局に定款、および必要書類を提出する際に、法定費用(登録免許税)として、6万円を支払います。

これは6万円分の収入印紙を購入し、必要書類に貼り付けて提出、というかたちをとります。

8-2. 定款の認証は不要

合同会社は、株式会社と異なり、公証役場での定款の認証が不要です。定款に4万円分の収入印紙は必要ありません。

株式会社設立の際は、定款を電子定款(CD)にすることで印紙代4万円を削減できますが、合同会社ではそもそも印紙代が必要としないので、紙面で提出されるいいでしょう。

同様に、公証役場での認証が不要ということは、5万円の手数料も不要になります。つまり、合同会社の設立費用(実費)は、6万円ということになります。

8-3. 行政書士と司法書士のどちらがいいか?

法人を設立する際、行政書士と司法書士、どちらの先生にお願いしたらよいのでしょうか?実は、行政書士と司法書士は似ているようですが、違いがあります。

定款の作成や公証人役場での認証手続きは、行政書士も、司法書士も、どちらも行うことができます。どちらに頼んでも結構です。

ところが、法務局(登記所とも言います)に対して行う行為、つまり、会社設立の登記手続きは、司法書士のみできます。

したがって、法務局への提出までお願いする場合は、司法書士の先生の方がいいです。

けれども、実際には、行政書士と司法書士のそれぞれの人や事務所と連携が取れていますので、どちらの先生でも大丈夫です。

8-4. 書士の費用

費用は、先生や事務所によってまちまちです。

数万円から十万円くらいが相場です。

9. 合同会社設立に必要な書類一覧

合同会社設立に必要な書類一覧は以下の通りです。

  • 合同会社定款
  • 就任承諾書
  • 本店所在地、代表社員及び資本金決定書
  • 資本金の額の計上に関する証明書
  • 払込証明書
  • 登記申請書
  • 別紙
  • 印鑑届書

10. 合同会社設立の手順と流れ

合同会社設立までの流れは、6つになります。

10-1. ①基本事項を決める

・商号を決める

合同会社を設立するには、「合同会社」を商号(会社名)の最初か最後に必ず入れなければなりません。

ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、アラビア文字、その他の記号(コンマ・ハイフン・ピリオド・中点・アポストロフィ)を使用できます。

・事業目的を決める

定款に記載する事業目的を定めます。

許認可業種の場合は、記載方法に決まりごとがあることが多いので、事前に行政に確認を取る必要があります。

・本店所在地を決める

合同会社の本店所在地を決めます。

自宅・オフィスどちらでも構いません。

自宅の場合、持ち家であれば問題ないですが、賃貸の場合は、会社登記がNGの物件もありますのでご注意ください。

最近では、レンタルオフィスやバーチャルオフィスでも設立登記は可能です。

しかしながら、レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは銀行口座の新規開設ができない場合も出てきています。銀行ごとに取り扱いが異なるようですので、必ず事前に確認を取っておきましょう。

・事業年度を決める

合同会社の決算月を決定します。

なお、設立後に決算月を変更することもできます。

・資本金を決める

出資金額は、1円以上あれば設立が可能です。

出資金額は自由に決めることができますが、300万円くらいまでの間で設定される場合が多いようです。

・社員を決める

合同会社の社員とは、出資者のことです。

1人から設立が可能です。

設立時の定款に氏名や住所を記載します。

・役員を決める

業務に携わる役員(業務執行社員)や会社の代表(代表社員)を決めます。

合同会社の代表は、社長とは言いません。

10-2. ②事前準備をする

・商号調査を行う

本店所在地を予定する場所に、同じ商号の合同会社がないかをチェックします。

調査の方法は、管轄の法務局で商号調査をするか、インターネットを活用することが多いです。

・法人実印(法人代表者印)の作成

商号調査で問題がなければ、合同会社の法人実印を作りましょう。登記申請には、必ず必要です。はんこ屋さんやネットショップなどで探されるといいでしょう。

登録のための規格は、一辺が8mmから25mmの正方形に収まるもので、形には制限はありません。

・印鑑証明書を取得する

代表社員となる人の印鑑証明書を取得しておきます。

代表社員以外の人の印鑑証明書も取得しておきます。

どちらも登記申請に必要になります。

・事業目的の確認

まずは、この事業目的で登記が通るのかを管轄の法務局で確認を取りましょう。

今は審査はかなりやさしくなっていますが、目的の明確性は求められています。

また、担当の登記官の裁量に委ねられている部分があります。確実に手続きを行いたい場合には、事前確認をとっておきましょう。

10-3. ③定款を作成する

合同会社の定款は、株式会社のそれと比べると簡易です。

しかし、逆に言えば、それだけ自由度が高いものでもあります。

合同会社の定款は、公証人の認証が不要です。

定款には、絶対に記載しなければならない絶対的記載事項が定められています。

これがないと、定款として受け付けてもらえません。

・合同会社の定款の絶対的記載事項

合同会社の定款の絶対的記載事項とは、必ず記載しなければならない事項のことです。

目的:

事業目的を記載

商号:

合同会社という言葉を商号の最初か最後に必ず入れなければなりません。類似商号調査も行ってください。

本店の所在地:

最小行政区画である市区町村までを記載しなければなりません。社員の氏名または名称及び住所:「名称」とあるのは、法人も社員となることができるという意味です。

社員が有限責任である旨:

社員の出資の目的及びその価額または評価の基準:

個々の社員の出資につきその種類(金銭・現物など):

・合同会社の定款の相対的記載事項

合同会社の定款の相対的記載事項とは、定款に記載すれば有効になる事項のことです。

会社の内部関係に関する事項であって、組合に関する民法の規定を適用しない旨の定め:

会社の存続期間の定め:

業務執行社員の定め:

会社を代表する者の定め:

損益分配の定め:

社員の退社の定め:

会社の解散原因となる事由の定め:

死亡、合併時の承継人が社員となる定め:

解散の場合における会社財産の処分方法:

10-4. ④出資金の払込み

・出資金の払込みをする

合同会社の社員になろうとする人は、定款作成後から設立登記申請時までに、定款記載の出資金の払い込みを行います。

また、出資が金銭以外の財産であるときは、その財産全部を給付する必要があります。

・払込証明書を作成する

代表社員になる人個人の銀行口座に資本金を振り込みます。自分が代表社員になる場合には、自分の口座に自分名義で振込ます。その後、払込証明書を作成します。

振り込んだ明細ページ、通帳の表紙、見開き1ページ目などをホチキス止めして、法人実印で割印をします。

・財産引継書を作成する

現金以外で出資するものがある場合には、財産引継書を作成します。

・資本金の額の計上に関する証明書を作成する

現金以外に出資するものがある場合には、資本金の額の計上に関する証明書を作成します。

10-5. ⑤合同会社の設立登記申請をする

登記申請書やその他の添付書類を作成し、管轄の法務局にて申請を行います。

合同会社の登記事項が定められていますので、登記事項に漏れがないように書類を作成する必要があります。

10-6. ⑥合同会社設立後、各種届出をする

・登記事項証明書及び法人の印鑑証明書を取得する

合同会社の設立登記が完了すると、合同会社の登記事項証明書と印鑑証明書を取得できるようになります。

この登記事項証明書は、法人の謄本になります。法人が生まれた証明書になります。ただし、登記を申請した日が法人設立日になります。

・税務関係の届出を行う

税務署、市税事務所、都税事務所などに法人の設立届けを提出します。

添付書類として上記の登記事項証明書等が必要になります。

・社会保険・労働保険関係の届出を行う

社会保険、労災保険、雇用保険の加入手続きを行います。

社会保険は年金事務所、労災保険は労働基準監督署、雇用保険は、ハローワークに加入の手続きを行います。

11. 合同会社の税金

合同会社の税金関係は、株式会社と同様です。法人税、法人住民税均等割など、株式会社と同様の税率になります。

たとえ赤字であったとしても、法人住民税の均等割で7万円かかります。

(資本金1,000万円以下、従業員50人以下の場合)

12. 合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社の違いは、以下の通りです。

12-1. 設立費用が格段に安い

合同会社の設立費用は格段に安いという点です。

合同会社は公証役場での定款認証が不要です。そして、設立登記に必要な登録免許税も株式会社より9万円も安く済みます。

また、ランニングコストも、役員任期がないので、任期ごとに必要となる役員変更登記の登録免許税もかかりません。

12-2. 合同会社は、出資者と経営者が同じ

合同会社は、株式会社と同様に営利企業です。したがって、どんな事業も行えます。

公序良俗や法律に触れない限り、縛りはありません。

12-2-1. 株式会社の特徴

株式会社との最大の違いは、合同会社は出資者と経営者が同じであるということです。

つまり、株式会社は、株主(オーナー)がいて、その会社の事業経営は取締役の別人が行うというスタンスを取っています。

もちろん、一人株式会社やオーナー会社の場合は、株主と経営者が同一人物ですが、基本的には、出資者と経営者は分かれているというのが特徴です。所有と経営が分離しているということになります。

12-2-2. 合同会社の特徴

所有と経営が分離している最大のメリットは、出資を行わない者であっても、優れた経営者を次々に呼び込めるところにあります。

一方、合同会社は、所有と経営が一致しています。

原則として、合同会社では、株式会社のように株主になって配当をもらいたいだけで、経営についての責任は一切負いたくない、ということはできません。

13. LLCとLLPの違い

合同会社の英語表記は、Limited Liability Companyです。その頭文字を取って、「LLC」と表記します。

有限責任事業組合の英語表記は、Limited Liability Partnershipです。その頭文字を取って、「LLP」と表記します。

LLC(合同会社)は、「Limited:有限 Liability:責任 Company:会社」の略称になります。 合名会社、合資会社とともに、持分会社と呼ばれています。

LLP(有限責任事業組合)は、「Limited:有限 Liability:責任 Partnership:組合」になります。

13-1. LLCとLLPの共通点

どちらも出資者全員が有限責任社員だけで構成されます。

どちらも出資者全員で業務を執行します。

13-2. LLCとLLPの相違点

13-2-1. 法人格

最大の相違点は、LLC(合同会社)は法人であるのに対して、LLP(有限責任事業組合)は法人ではありません。

LLP(有限責任事業組合)は組合になりますので、法人格がありません。

13-2-2. 課税制度

LLC(合同会社)は法人ですので、法人税が課税されます。

LLP(有限責任事業組合)は法人ではないので、法人税がかかりません。

利益が出た場合には、直接構成員に課税されます。

13-2-3. 組織の変更

LLC(合同会社)は法人ですので、株式会社に組織変更が可能です。

LLP(有限責任事業組合)は法人ではないので、株式会社などの法人格のある会社形態への組織変更はできません。

14. まとめ

合同会社は、2006年5月の新会社法の施行によって認められた新しい法人の形態になります。

もともと、合同会社(LLC)は、アメリカで株式会社に匹敵するほど活用されていた会社の法人形態です。

日本においては、有限会社の代わりとして、新しく登場しました。

ちなみに、もう有限会社は設立できなくなりました。

この合同会社(LLC)の最大の特徴は、出資者の責任は有限責任ということです。

そして、意思決定方法や利益の配分が、出資比率によらずに自由に決められる点にあります。

出資した資金額に係わらず、知識やノウハウ、スキルを提供した人は、資金を提供した人と同じ様に、あいはそれ以上にリターンを受けられる可能性があるということです。

このように「人」が主体となっていることから、合同会社は「人的会社」と言われます。

例えば、少人数で技術やノウハウを持ち寄って共同事業を始める際に、会社組織にはしたいけども、株式会社のようにルールに縛られないで自由に会社運営をしたいという方には、おすすめできる会社形態になります。

資本金1円から設立可能であるため、そして有限責任社員が1人以上いれば設立することができるため、人気の法人形態となっています。

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