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一般社団法人設立の手続き【9の特徴と13の流れ】

一般社団法人の設立手続き

一般社団法人は、概ね株式会社と同じような手続により設立することができます。

社会起業家を目指している方であれば、「社団法人」という法人格を取得することで、会社とは違った社会的な格付けのもとで活動ができます。

では、一般社団法人設立の手続きは、どのような特徴でどのような流れなのでしょうか?

具体的に今回取り上げる一般社団法人設立手続きの特徴は以下の9つです。

  • 設立の手続きが簡単である
  • 拠出しなくても良い
  • 基金制度
  • 身軽な運営が可能
  • 多様な事業を行う団体として活用することができる
  • コストが安い
  • 利益の配当が制限される
  • 税金
  • 社会保険

また、手続きの流れも具体的に触れていくので一般社団法人が気になる方は、ぜひじっくり読んでほしいと思います。

1. 一般社団法人の特徴

一般社団法人をつくると言うと、なんだか難しそうというイメージを持つかもしれません。しかし、平成20年に公益法人制度改革が行われ、一般社団法人は誰でも登記だけでつくれるようになったのです。

1-1 一般社団法人は公益法人ではない

法律上は、一般社団法人は公益法人ではありません。もし公益法人を名乗りたければ、公益社団法人にならなければなりません。
そのためには、法定の23区分に該当する公益事業を主な目的としなければなりません。その他にも公益認定を受けるための高いハードルが用意され、それをクリアしなければなりません。

しかし、従来の社団法人やNPO法人をつくる困難さから比べたら、社団法人もいまや気持ちさえあれば手軽につくれる時代となりました。また、一定の条件をクリアすれば、税制上の優遇措置も受けられます。

社団法人ではビジネスを展開してはいけないというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。株式会社と同じように、営利目的の私益事業をしてもよいのです。

2. 一般社団法人設立の手続きの特徴

一般社団法人設立の手続きの特徴を1つ1つ見ていきます。特徴を理解すれば、一般社団法人があなたのビジネスに適しているか判断もしやすいと思うので、順に読み進めていきましょう。

2-1. 設立の手続きが簡単である

新しい制度がスタートする前は、社団法人の設立というのは、行政庁の公益に関する特定事業を行うことや営利を目的としないことなど、主務官庁の許可を得ることが設立にあたって必要で、設立が非常に困難でした。

しかし、平成20年12月1日より、一般社団法人であれば法人の公益性や目的は条件を満たさなくてもよくなったため、株式会社と同じように法務局への登記手続きだけで設立できるようになりました。

2-2. 拠出しなくてもよい

一般社団法人の出資者である設立時社員は2人必要ですが、財産の拠出をすることなく設立することができます。

2-3. 基金制度

一般社団法人は設立時に一定額の財産を必要としないことから、法人の財産基盤を充実させるため、基金制度を採用しています。

尚、この制度を採用するには、予め定款に、基金の拠出者の権利に関することや、返還の手続方法について必ず定めておかねばなりません。

2-4. 身軽な運営が可能

一般社団法人で必ず定めなければならないことは、社員が2名以上であること、社員総会を設置すること、理事を1名以上決めることのみです。理事会やその他の理事、監事、会計監査人の設置は任意になります。

また、これまでの社団法人と違って、行政庁の監督を受けることがなくなりました。従って、自主的で身軽な運営が可能になります。

なお、一般財団法人設立後の運営においては、評議員を3名以上、評議員会の設置、理事を3名以上、理事会の設置、監事を1名以上選定することが必須となっています。

2-5. 多様な事業を行う団体として活用することができる

一般社団法人は事業目的の規制がないため、他の法律に抵触していない事業である限りは、どのような事業でも行なえます。

公益事業はもとより、株式会社のような私的な利益を追求する収益事業を営むことも可能です。また、協同組合のような共益事業を行うことも可能です。

以下のような任意団体を法人化する際には、一般社団法人は最適です。

  • 公益事業を行なう団体
  • 町内会、同窓会、サークル団体
  • 同業者団体、業界団体
  • 学術団体、スポーツ団体
  • 社会福祉系の団体

2-6. コストが安い

法人設立に必要となる費用は以下の通りです。

  • 公証人の定款認証手数料:5万円
  • 商業登記の登録免許税:6万円

これは株式会社の設立に比べて、約9万円以上も安く設立できます。

2-7. 利益の配当が制限される

一般社団法人の構成員、つまり社員や理事などには、剰余金や残余財産を分配するはできません。利益の分配をお考えの方は株式会社や合同会社のほうが良いでしょう。

ただし、理事については法人の運営業務における対価や報酬は受け取ることができます。

2-8. 税金

非営利型法人以外の一般社団法人は、株式会社と同様に、法人税、法人事業税、法人住民税、消費税がかかります。(均等割という法人住民税は利益が出ていない場合でも年間最低7万円課税されます)

2-9. 社会保険

社員1人だけの一般社団法人でも、原則として厚生年金、健康保険などの社会保険の加入が義務づけられています。

また、従業員を1人でも雇い入れたら、雇用保険、労働者災害補償保険などの労働保険への加入が必要となります。

3. 一般社団法人設立手続の流れ

一般社団法人は、概ね、株式会社の設立と同じような手続になります。手続きの流れを13のステップに分けて解説していきます。

3-1. 定款の作成

定款とは、法人における最高規則です。その法人の成り立ちや目的、運営において重要な事項を定めたものです。

定款を作成するということは、一般社団法人の大枠を決めることになりますので、この作業を通じて全体像が決まってきます。

一般社団法人の場合、定款には法人の名称や住所、目的などといった基本的な事項を記載しますが、それ以外にも、必要に応じて組織形態や意思決定方法などについても定めることとなります。その内容により、法人運営や事業運営に影響を及ぼすこととなります。

定款はその法人の「憲法」の役割になりますので、定款の作成は設立手続において最も重要なステップとなります。

尚、定款に定める基本事項は、社員が作成します。

3-1-1. 名称を決定する

一般社団法人名を決めます。

主たる事務所の所在地を管轄する同じ法務局内に、すでに同一の名称の法人が存在する場合には、一般社団法人設立の登記申請をしても登記してもらえません。

3-1-2. 目的を定める

一般社団法人設立後に、どのような業務を行っていくのかを定めます。

3-1-3. 所在地を決める

主たる事務所の住所を決めます。法人の住所です。これにより、管轄法務局や公証役場が決まります。

万が一ということもありますので、主たる事務所の所在地に同一の名称の法人が登記されていないかどうかを確認しましょう。

尚、この調査は管轄の法務局にて無料で行えます。

3-1-4. 社員の選定

設立時における社員を選びます。株式会社でいうところの社員は株主に相当します。

尚、設立時に社員は、最低2人以上必要になります。(人でなく、法人でも可)

3-1-5. 理事、理事長の選定

設立時における理事や代表理事(理事長)を選びます。株式会社でいうところの理事は取締役、代表理事は代表取締役社長に相当する役員の選定になります。

尚、設立時に理事は、最低1人以上必要になります。

3-1-6. 事業年度の決定

一般社団法人を設立する際には、その事業年度をいつからいつにするのかを決めなくてはなりません。 法人はその決めた事業年度末から原則2ヵ月以内に、法人税や消費税などの申告と納税を行う必要があります。

個人事業主は1月1日から12月31日が事業年度ですが、法人の場合には自由に決めることができます。 

3-1-7. 社員の資格の得喪に関すること

一般社団法人の定款では、社員の資格を定めます。

法人の社員になることや社員の資格を得るために必要な条件や手続、あるいは社員を抜けるための条件や手続、社員の資格を喪失する場合などを定めます。

この社員になる、社員でなくなるといったことを総称して、社員の資格の得喪と言います。

3-1-8. 公告について

公告とは、法律に定めのある事項について、広く世に知らせることを言います。

一般社団法人は、毎年決算後に貸借対照表を公開しなければなりません。これを決算公告と言います。また、解散や合併によって法人が消滅する場合には、債権者保護のための公告手続が必要となります。

公告の方法では、主に決算公告について、どのような方法で公告手続を行うかを定めます。

ちなみに、広告とは自発的に世間に情報を流すこと。一方、公告とは公に発表する情報のことを言います。

3-2. 疑似商号調査

必ずしも必要な手続きではありませんが、類似の名称で登記した場合には、後ちに面倒が生じます。また、商標登録をされている可能性もありますので、類似の商号や名称を持つ法人がないかを確認しておいた方が良いでしょう。

尚、すでに登記されている他社の商号を同じ管轄内の所在地で登記をすることはできません。所在地が異なれば、同じ商号で登記をすることができます。

3-3. 事業目的の適格性調査 

事業目的とは、一般社団法人が設立後に行う事業内容のことになります。

事業目的には、適法性と明確性が必要です。従って、違法なものは事業目的にはできません。また、許認可の必要な事業は、許認可を受ける官庁に事業目的の記載方法を必ず相談、確認してください。

3-4. 印鑑の作成 

一般社団法人の商号が確定したら、法人印(実印)を作成しましょう。

最近では、インターネットの業者を通じて、安価で即日作成してもらえるようになりました。依頼から完成まで時間を加味して作成しましょう。

実印は設立登記の際に必要になります。また、本社所在地も決まっているようならば、同時にゴム印や銀行印、角印も作成しておくといいでしょう。

尚、法人の実印は大きさが決められています。一辺の長さが1cmを超え、3cm以内の正方形の中に収まるものでなければなりません。

3-5. 印鑑証明の取得 

印鑑証明書は定款の認証の際には、社員全員の分が必要になります。また、設立登記の際には、理事全員の分が必要となります。

定款には印鑑証明書に記載してある住所を正確に書かなければなりません。住所の書き方が一般的な表記とは異なります。この時点で印鑑証明書を取得し、確認をしながら記載することをお勧めします。

3-6. 一般社団法人の定款の完成

定款は3通必要となります。

株式会社の設立には、定款には4万円の収入印紙を貼り、消印を行う必要があります(電子定款の場合は収入印紙不要)が、一般社団法人の定款には収入印紙は入りません。

3-7. 定款の認証手続き 

一般社団法人の定款は、公証役場で認証を受ける手続きが必要です。
5万円の認証費用と謄本交付手数料(1枚250円)が必要です。

尚、定款の認証を委任する場合には、予め委任状の作成が必要です。

3-8. 本店所在場所の決定 

定款に本店の所在場所まで記載する場合は不要ですが、本店所在地の決定には、社員の過半数一致が条件です。そして、社員過半数一致を証する書面作成が必要です。

3-9. 設立登記に必要書類の作成 

登記を申請するには、登記申請書、印鑑届書、印鑑カード交付申請書の作成が必要です。これらは社員が作成します。

3-10. 設立登記申請手続き 

法務局で登記申請を行います。

登録免許税(6万円)が必要です。受付から完了まで、およそ1週間程度かかります。もし申請において修正が必要な箇所があると連絡が入った場合には、修正して再提出することができます。

尚、登記申請日が一般社団法人の成立日になります。申請日が一般社団法人の創立記念日となりますので、ふさわしい日を選んで申請されることをおすすめします。

3-11. 登記完了 

法務局で、一般社団法人の登記簿謄本と印鑑カード、印鑑証明が交付されます。

3-12. 官公庁などへの各種届出 

登記完了後には、税務署や都道府県税事務所、市町村役場、社会保険事務所、労働基準監督署、公共職業安定所に対して、それぞれ提出が必要な書類がある場合があります。東京23区では、届出が不要な書類もあります。

3-13. 法人口座開設

法人の銀行口座を開設します。法律で作らなければならないものではありませんが、必ず使うものでありますので、必要書類を揃えて作成してください。

昨今はマネーロンダリングなどの問題から、以前よりも法人口座の開設が難しくなっていますが、定款や設立趣意書、その他必要書類などを提出して、法人の目的を正しく告げれば開設できます。

必要書類に関しましては、各銀行によって異なりますので、法人所在地のお近くの銀行支店にお問い合わせください。

4. まとめ

平成20年12月に、公益法人制度改革が行われました。112年続いてきた法律の改正でした。その結果、一般社団法人は誰でも登記だけで作れるようになりました。

一般社団法人は株式会社とは違って、利益が出ても出資者への配当は禁止されています。給与を支払うことは、事業の運営に必要な管理費として認められていますが、利益配当には該当しません。

最後に、一般社団法人設立の流れを簡単にまとめますと、

  1. 2人以上の設立者(社員)が集まり法人化の準備
  2. 商号の調査及び一般社団法人の印鑑を作成
  3. 定款作成及び認証
  4. 管轄法務局にて登記申請
  5. 一般社団法人成立

の手順になります。上記の流れに従って、手続を進めてください。

一般社団法人設立にかかる費用は、

  • 公証人手数料:5万円
  • 定款謄本交付手数料:2千円程度
  • 登録免許税:6万円
  • 法人印:数千円程度

となります。

一般社団法人は、生涯をかけてチャレンジしたいと思えるような情熱ある社会起業家が歩み出すための法人という位置付けかもしれません。

協会総研
吉村司 吉岡岳彦

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