協会には7つのタイプがあります。カルチャースクール型、資格講座型、フランチャイズ型、業界支援型、検定試験型、サークル型、ビッグデータ型です。
協会の性質や背景、受講生の層などによって、合う型があります。協会の特徴と協会の型が合致していないと、協会運営にほころびが生じます。
また、現在協会運営がしっくりきていない場合には、ややもすると協会の型が合っていないのかもしれません。
ここでは、協会の7つの型をタイプ別に紹介します。そして、正しく協会を立ち上げるために、あなたの協会をどのように設立したら良いのかの方法を紹介します。
目次
0. 協会には7つの型がある
協会には7つのタイプがあります。まずは、協会のタイプを見ていきましょう。
- カルチャースクール型:
カルチャースクールのように、たくさんの講座を用意して運営する協会になります。 - 資格講座型:
主力の講座を作り、広めていく協会になります。 - フランチャイズ型:
講師を次々に生み出していく協会になります。 - 業界支援型:
業界の発展を目的とする協会です。 - 検定試験型:
検定試験を中心に運営する協会です。 - サークル型:
ファンを集めたサークル活動のような協会です。 - ビッグデータ型:
検定試験型とサークル型を融合したハイブリット型の協会です。
それぞれ特性が違うので、1つひとつ確認していきましょう。
1. カルチャースクール型の協会はメニューが豊富
「カルチャースクール型」の協会の特徴は、総合カルチャーセンターのような存在で、主力商品、主力事業は、特に定めないスタイルになります。
協会の理念の実現に必要なメニューをいくつも用意して、様々な講座や研修、勉強会を行います。
また、パーティーやツアーの企画などのイベントを行い、会員の交流を活性化させます。
1-1. カルチャースクール型の事業モデル
それぞれのメニューを販売
会員に向けて、講座や研修、ツアーなどの様々なメニューを販売することで収益を上げていくビジネスモデルです。
会費を払えば、いくつも受講できる
定額の会員制にして、月額会費を支払えば、どのメニューも受講できるビジネスモデルです。従って、勉強熱心な受講生にとっては割安感があるため、囲い込みができます。
助成金で運営
助成金で運営するものとして、助成された範囲内でメニューを無償提供するビジネスモデルです。
2. 資格講座型の協会は、主力講座がカギになる
「資格講座型」の協会は、理念を実現するための主力の資格講座を決めて、そこに集中して運営するスタイルになります。
「直営型」とか「ソムリエ型」とも呼ばれます。
主力の資格講座以外にも、その周囲に研修や勉強会、その他講座を設置して、受講生の満足度を高めていきます。
このように、主力講座の周りに別の講座を開発、設置していくことを「横展開」と言います。
2-1. 資格講座型の事業モデル
主力講座を拡める
主力講座の価格は、比較的高額に設定します。主力講座以外のメニューは、安価なものにするビジネスモデルになります。
周囲のメニューの位置づけを決める
主力講座以外のメニューは、資格取得者のみ受けられるものにするのか、誰でも受けられるものにするのか、どちらかに位置づけることが大切です。
資格取得者のみが受けられるようにする目的は、受講生の満足度を高めることになります。
また、横展開することで、キャッシュポイントをいくつも作れるため、経営的にも安定します。
ビジネスは新規顧客の取得にお金も労力も使いますので、信頼関係の築けている会員に向けての別の講座は、「クロスセル」するのが容易です。
一方、誰でも受けられるようにする目的は、安価な分、新規の受講生を獲得しやすくなります。マーケティング上の一つの戦略として考えられるといいでしょう。このミニ講座で信頼関係を築ければ、本講座への「アップセル」につなげられます。
「クロスセル」と「アップセル」の意味の違いは、クロスセルは付属品を販売することで、アップセルは上級のものを販売することです。
例えば、お値打のデジタルカメラを買った顧客に、カメラに付けるレンズを販売するのがクロスセル。さらに上級モデルの一眼レフカメラを販売するのがアップセルになります。
3. フランチャイズ型の協会は、良い講師を育成、排出していく
「フランチャイズ型」の協会は、講師(インストラクター)を次々と生み出す事業を中心に据えます。主力講座に集中して、講師になりたい人を集め、講師を育てていきます。
3-1. フランチャイズ型の事業モデル
講座受講者が講座を開く
講座を受講した人が上級講座に進み、講師(インストラクター)の資格を取得します。そして、今度は、自分が受講した講座と同じ講座を地元で開催します。
講師が講師を育成していくビジネスモデルになります。
講座受講者が講座を開けるよう支援する
講座を受講し終え、講師(インストラクター)になった人が、自分で生徒を集客し、講座を開催できるような支援を行います。
受講生が増えないと、本部の収益が上がらない
講師が講座を開催しなければ、協会の受講生や会員は増えません。受講生や会員が増えなければ、本部の収益であるライセンス使用料や会費、あるいは教材費などの物販での収益が上がりません。
4. 業界支援型の協会は、業界の発展に努める
「業界支援型」の協会は、業界の発展が目的になります。
4-1. 業界支援型の事業モデル
業界関係者からの会費が収入源
業界支援型の協会では、業界に属する個人や企業、店舗からの会費を主な収入源にするビジネスモデルになります。
一般向けの事業
一般向けの主な事業には、業界のPRのためのキャンペーンやイベント、セミナーなどを開催して収益を上げます。
会員向けの事業
会員向けの主な事業には、その業界の情報提供、ビジネスセミナー、コンサルティングなどを行って収益を上げます。
5. 検定試験型の協会は、試験を定期開催する
「検定試験型」の協会は、検定試験を中心として、仕組みを用意します。
5-1. 検定試験型の事業モデル
検定試験を開く
検定試験を定期開催します。定期開催していきながら、周知していきます。
主に検定料や認定料が収入源になるビジネスモデルになります。
教材を販売
検定試験に受かるために、受験者はその勉強をします。
そのため、協会では教本を販売したり、直前セミナーを開催します。それも収入源になります。
学校に提供する
漢字検定や英語検定は、学校と連携して検定試験を行っています。
しっかりとした検定試験は、国家資格ではないものの、それと同等の価値として扱われるものもあります。
6. サークル型の協会は、ファンを募る
「サークル型」の協会は、ファンを集めることに集中します。
アニメファン、鉄道ファンといった「マニア」を集め、サークルやクラブ活動のように運営していきます。
6-1. サークル型の事業モデル
会報誌を発行する
サークル型の協会の主な収入源は、会費になります。集めた会費で運営していくビジネスモデルになります。
会報誌を発行して、情報を提供します。
イベントを開催する
会員から参加費を徴収して、イベントや講座を開催します。
7. ビッグデータ型の協会は、コンサルティング型とも言える
「ビッグデータ型」の協会は、検定試験型とサークル型のハイブリット型の協会と言えます。また、ある一定の業界に属しているため、業界団体型の協会とも言えます。
最近増え始めている新しいタイプの協会になります。
7-1. ビッグデータ型の事業モデル
マニア向けの検定試験を実施する
マニア向けの検定試験を無料で行います。ウェブなどを使って無料で検定試験を行うことで、多くの受験者、終了者のリストを獲得します。
マーケティングに利用する
検定試験で集めた会員の個人情報を集めて、マーケティングに利用します。
むろん、直接個人情報を企業に提供することはできませんが、集まったその業界が好きな人の集まりは、企業にとっては魅力的な組織になります。
協会は協会会員に向けて情報提供をする中で、企業から広告料を取り、コマーシャルをします。
8. 正しく協会を立ち上げる
実は、これらのよくある質問を1つひとつ確認していくことで、協会事業の本質が見えてきます。
『人気のある協会とは?【7つの良くある質問から探る】』で詳しく解説しているので、こちらも合わせて読むことをおすすめします。
9. まとめ
協会も一般の会社と同じような組織です。どちらも利益を求めて構いません。
けれども、実際運営してみると、協会と一般の会社とでは、本質的な部分で大きな違いがあります。
協会は「理念経営」が非常に大事です。もちろん、一般の会社も理念が大事なのですが、協会を発展させるためには、より理念が大事になります。
協会という受講生や会員で成り立つ組織では、会社の社員で成り立つ組織とは違います。協会の受講生や会員という存在は、「顧客であって、顧客でない存在」になります。言わば、協会のトップである理事長方見て、「こっち側の存在」であり、「仲間」になります。
協会をより正しく設立し、運営していくには、理事長を輪の中心にして、会員と相思相愛の関係を築いていくことが何よりも大切です。
この協会経営の本質を蔑ろにして、株式会社で行うビジネスと同等に経営してしまうと、せっかく「協会」を立ち上げたにもかかわらず、なかなか受講生や会員が増えずに、苦戦が続くことになります。
繰り返しになりますが、正しい協会の経営には、「理念」が大切になります。
協会の7つの型を紹介しましたが、どの型であっても理念が前にない協会は、長く繁栄できなくなります。
協会を立ち上げる意味は、素敵な理念にあります。
協会ルネサンス
吉岡岳彦