理念とは、理事長が抱く「協会設立の目的」「協会設立の思い」です。
協会の理事長は、受講生と接する際に、協会のスタッフと顔を合わせる際に、いつも理念を語ってください。
協会における「理念」は、なによりも大切にしなければならないものです。
「理事長さんは、また理念の話をしている」と受講生やスタッフから思われるくらいでちょうどいいと思ってください。いつも、いつも、理念を語ってください。
協会は理念を実現する組織
協会は「理念を実現する」組織になります。
創りたい世界をイメージしたとき、すでにある組織とはまったく違う性格のものならば、その理念(思い)に沿った新しい協会を作ることがいいでしょう。
誰と争うでもなく、自らが理想とする理念の実現に向けて、邁進すればいいのです。
誰かと争うのでなく、「理念を追求する生き方」をするのが、協会運営の本質になります。
理念に沿った生き方をする
はじめは、「そもそも理念を重視した生き方をしてこなかった」「理念なんていうのは恥ずかしい」と思うかもしれません。
しかし、理念に沿った生き方をしていると、不思議と理念中心の生き方に変わってくるものです。毎日、理念を確認する生き方をしているうちに、ブレない生き方ができるようになります。
理念中心の生き方は 苦しくない
会社が生き残りをかけて、日々サービスを追及するのは大変です。
その過程で、過当競争を余儀なくされ、業績不振によるリストラなど経験するかもしれません。売上を上げるために、朝から晩まで足が棒になるほど歩き回るかもしれません。あるいは、厳しい営業会議で吊るし上げを食らうこともあるかもしれません。
しんどさは会社の経営ほどありません。
理念を全うすることが優先順位の一番なので、数字(利益)を追う会社と比べて、精神的な苦痛は少ないのが特徴です。
協会は会社とは違います
協会というのは、会社とは違います。会社は、基本的には競合と争います。他社とサービスを競い合って、選ばれることで、存在する意味があります。
ところが、協会は争いません。競合ができにくいのです。
「協会」としてくくると、後発の協会はできにくい性質があります。
したがって、競合がいないので、争う必要がないのです。
協会は「その分野の専門家集団」と見られます。その分野の第一人者になるので、競合が参加してこない性格があります。
受講生から見れば、すでにそこに協会があるのだから、そこに入会すればいいわけです。
理念があるから相思相愛の関係が築ける
理事長と受講生の関係は、「相思相愛」が理想です。
相思相愛になるように運営していくことが、協会事業成功のポイントになります。
相思相愛の関係とは、理事長は受講生のことを日夜思い続け、受講生は理事長のことを思う関係です。
理事長は、受講生がこの協会に関わることで、どんな「素敵な存在」になるのか?をいつも考え、それを実行していくことが大切です。
場合によっては、元の構想とは違うかもしれませんが、受講生のためを思って変更、修正、改革していくのならば、それは正解ということになるでしょう。
協会の受講生は顧客ではない
協会の受講生というのは、会社の顧客と同じ位置付けです。
例えば、セミナー主催会社が受講生を集めて講座をするのと、ほとんど見え方は一緒です。
しかし、その関係性はというと、少し違います。いや、本質的には両極ほど違うと言っていいほど、真逆な性格を持ちます。
顧客の一人という立場は変わらない
家電量販店で冷蔵庫を買っても、その会社の社員という意識は働きません。その会社のオーナー(株主)という意識は働きません。
会員カードを発行しても、「顧客の一人」という立場は変わりません。
しかし、協会の受講生は、その協会の受講生でありながらも、協会の一員になります。
時には、協会のイベントをボランティアで手伝ってくれることさえあります。ただの顧客ではありません。
理念のつくり方とは
協会の理念は、「感動できる」内容になっているかがポイントです。
設立趣意書をつくる
協会の理念をまとめる際に、『設立趣意書』を作成するところから始めましょう。
理念だけをまとめても、全体像が見えないと相手に伝えることができません。
また、全体像が言語化、視覚化できていないと、誤った、あるいは未完成な理念になってしまいます。
そんな時に、『設立趣意書』が役立ちます。
設立趣意書とは、企業で言うところの「企画書」と似たものです。
どのような協会が、どのような理事とともに、どのような目的で、どのような方法を用いて、そのようなことを広めていくのかを記したものです。
そして、この設立趣意書を元にして、『定款』をつくりあげます。
設立趣意書
- 協会名
- 設立年月日
- 所在地
- 代表理事、理事
- 設立の思い
- 設立の目的
- 事業内容
理念のポイント
理念の書き方は自由です。
ただし、以下のような要素を入れて理念を語れるようにしましょう。
- 理念の文章化が完成している(100字、200字、400字)
- 主要関係者が、理念を口頭で説明できるようになっている(5分、10分)
- 理念のキャッチフレーズが完成している
- 各講座のゴールが、この理念が深化するように設定されている
- どのような経緯でこの事業を始めるに至ったのかをストーリーで語れる
- 10年後、協会がどのような姿になっているかを語ることができる
100% 70% 50% 30%
この「100%、70%、50%、30%」というのは、理念の理解度を表した数字です。
当然、理事長は100%理念を語れるわけですが、理事長の側近の理事は70%の理解です。意外と少ないと感じるかもしれません。
協会のスタッフは、理事長の半分くらいの理解度です。
受講生に至っては、理事長の30%程度の理解度です。
この数字は、毎回、理事長が理念を語ったとしての数字です。理念をほとんど語られない協会では、まったく理念は浸透しません。
協会運営にとって、理念は一番大事なものですが、協会運営を共にしている理事ですら、理事長とのギャップがあるということを同時に理解しておいてください。
スタッフ、受講生に浸透する理念になるためには、理事長は様々な角度から理念を語るように意識し、皆が理解できるように工夫することが大切です。
理事長は率先して理念中心の人物になる
協会の意味は、夢を形に変えていくことです。その出発点に理念があります。
協会は、「理念中心の人物」に押し上げてくれます。
理念中心の生き方をしてこなかったとしても、協会を運営していくうちに、それが養われてきます。
そういう生き方が、とても気持ちいいってことに気づきます。その理念があることで、会員が繋がっていることを実感してください。
理念なき組織では、受講生の拠り所、意思疎通、向かう先がまとまりません。困った組織になってしまいます。理念があることの大切さを感じてください。
協会は、「ある目的のために会員が協力して維持する会」になります。
スタッフ、受講生が進んで協力したいと思える理念をしっかり作ってみてください。すでに協会をお持ちの理事長は、今の理念がどうなのか、確認してください。
まとめ
「理事長さんは、また理念の話をしている」と受講生やスタッフから思われるくらいで丁度いいと思ってください。いつも、いつも、理念を語ってください。
理事やスタッフ、講師陣、会員や受講生が、理念を意識して、そして暗記できるくらい、理念を語ってください。
理念を語ることは、協会事業を発展させるものでもありますが、実は、自分のためでもあります。
何度も何度も口にすることで、一番聴いているのは自分になります。漠然としたものを言語化して、人に語るということは、自分が一番深く理解できます。
そうすることで、理念を大事にする自覚が芽生え、理事長自らが「理念100%」な生き方をする人間になっていきます。
協会ルネサンス
吉岡岳彦